だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
27.人気者って分かってる?
「ねぇねぇ。都ちゃんっ」

プリントを抱えて教室に戻ると、クラスメイトの女の子たちから羽交い絞めに合う。

「清水先生と何話したの?」

わたしはそっけないくらいの冷たさで
「なぁんか、資料の準備が出来てなかったら刷り上るの待ってただけ。
東野先生の授業の進み具合なんか聞かれたけど……。
ほら、わたし、インフルエンザで休んでいたからよく分からないじゃない?
だから、特に話なんてしてないよ」
と、返す。

三々五々に散っていったクラスメイトたちの背中を見ながら、本当はこのそっけなさを貫き通す自信なんてなくて、心の中でため息をついた。

それに、物言いたげにわたしを見ている谷田陸のことも気になった。

パパは、あの時。
谷田陸の記憶をどれだけ消してくれたのかしら……。

プリントを配布してから席に着く。


清水は相変わらずの営業用スマイルを携えて、クラス中の女の子のハートをかっさらっているし。
わたしは、視線が合うたびにどんな顔をしていいのか見当もつかなくて困っちゃうし。


こんなの、全然嬉しいプレゼントじゃないわよっ。


パパのバカっ!



……でも。
  お邸ではほとんどポーカーフェイスの清水が、たとえ営業用でも笑っているところが見られるのは、なんだかお得な気分。
  口角、ちゃんと上がるんだ、なんて。
  ほっとしているわたしが居るのも事実なの。


ただね。
その、笑顔にいちいち心臓の奥の柔らかそうな場所が、きゅんきゅんと疼いちゃうのよね。
これ、問題じゃない?
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