だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
でも、ここで嘘を重ねても仕方がない。

「うん。
小学校は公立だったけど、中学はね、私立に行けってパパが煩くて」

適当な嘘をつく。

本当は小学校も私立に行きたかったのだけれど、あの頃はまだちょっと提出書類が多すぎて、誤魔化しきれなかったのだ。
だから、危険を冒して、調査が入りわたしの素性がばれる可能性があるということを怖れたパパが、受験させてくれなかったの。

自分は幼稚園から私立に行っているくせに、ね。

今はもう、大丈夫。

戸籍上のわたしの父は、社会的にも完璧な地位のある人になっているし。(あ、当然紫馬宗太ではありませんことよ。)
その他のこまごまとした問題も、時間とお金を掛けて完璧にクリアしたから。

……って、清水が言ってたんだもん。
  だから、大丈夫、なはず。

わたしの学力さえあれば、落とされることはないんだって。

「そっか」

谷田が意外にも落胆した表情を隠さない。

「都、頭良いもんな」

さすがにそれを否定するのは忍びないので曖昧に笑うにとどめる。
頭が良いというよりは、単に、先のことまで皆よりずーっと早く勉強しているってだけなんだけどね、本当は。

『どうせいつか覚えなきゃいけないんだったら、早く身に着けるにこしたことないじゃない』なんていう、適当な信条を持つパパのお陰で。
< 59 / 253 >

この作品をシェア

pagetop