セツナイ視線。



「流さなきゃなんない涙もあんだよ。つらいなら我慢すんな。泣きやむまで、町内ぐるぐる走ってやるから。」


「…!」
そう言うとハルは急に加速して家とは逆方向に自転車を走らせた。

…ハルは女を泣かせるプロだと思った。

もうこみあげる感情が止まらなかった。
私はハルの制服をギュッと握り、声をあげて泣いてた。


亮太。

初めて本気で好きになった人だった。

私の「初めて」を全部あげた人だった。

別れるなんてほんとはやだったんだよ。

なんで好きな子できちゃうのよ。


もっともっと一緒に居たかったよ。


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