【短編】極道彼氏!~あたしの虜~
「アハハ…ごめん!」


結衣は、お腹を抱えて笑っている。ムッとしてぷいっと横を向くと、結衣が抱き付いて来た。



「ちょっと結衣!?」



密着する体。こんな所を見られたら、完璧に誤解する人が居るだろう。あたしがレズだと…



だけど、結衣はくっついたまま放さない。



「結衣?」



もう一度名前を呼ぶと結衣ははっとし、ようやく放してくれた。



「キンパの事好きなんでしょ!?」



結衣は、少し寂しそうにあたしに言う。まるで小さい子供が叱られて今にも泣きそうなそんな表情だった。



「…多分…好きかも…」



「なら、会いに行きなさいよ!!結衣様の命令なんだから!!」



結衣は、女王様のようにあたしに言うとにっこり笑った。
あたしは、頷き結衣に手を振って教室を後にした。



だから結衣の



「バイバイ私の…美紀」



その言葉は、あたしには聞こえなかった。
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