【しあわせ偏差値~短編集~】
佳代の視界は
涙でゆがんだ

止まらない涙

ポーカーフェイスが……

彼が
しどろもどろしながら
汚れたタオルを出した

「ばか。汚い」

彼は
照れ笑いをみせた

その笑顔が大好き

二年間変わらない
好きという気持ち

「指輪つけていい?」
彼が訊いてきた

「世界で
 一番しあわせに
 しないとダメだからね」

彼女は
そっと左手を差し出した───。

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