月の雫[七福神大戦録]


「ククク、やっと来ましたか。そんな顔をしなくても、今日は退きますよ。こちらにも、陰の力を持つ者がいますから。ちょっと、そのお嬢ちゃんに挨拶をかねて、ね」


長い髪をなびかせ、男はニヤリと私を見やると、一瞬のうちに、残り二人を連れて姿を消した。



な、何だったの……?


私は、今さっき体験した恐怖と、解放からの安堵で、フラフラとベンチに腰掛けた。


一方、着物姿の怪しい4人は、私を見ながらそれぞれ好き勝手に言っている様子。



『厄介な事に、なりましたね……』


『ま、そんなに驚きはしなかったかな。俺は』


『これから、どうするんすか?こっちは4人すよ?それに……本当にアレなんですか?陽の力を持ってるって感じ、これっぽっちもないっすけど……』


『いや、間違いないだろ。見るからに生意気そうだし、いろいろやり難いとは思うが……。俺達の大事なお役目だ。仕方あるまい』


な、何かさっきから聞いてれば、この人達、性格悪そうなんだけど!!


「あの!さっきは助けてくれて、有難う御座いました!もう二度と会う事はないと思います!何か、宇宙人だか、幽霊だか知りませんが、誰にも言いませんから!安心して、星に帰って下さい。さよなら!!」

「……は?星?」


ポカンとする4人に背を向け、私は持てる力で、走りだした。


もう、嫌な1日だったなぁ。

早く帰って、とっとと寝よう。そうしたらきっと、何もかも忘れられる筈。私は、そう思いながら家に帰った。


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