透明図
もうすぐ放課後になろうとしていた。私は、結局いつまでも藤橋ユウヤに話し掛けることができずにいた。

いつも藤橋ユウヤの周りには2、3の人がいる。お昼の長い時間も、結局藤橋ユウヤはどこかに行ってしまっていた。

とは言うものの、本当はやっぱりいくらでも話し掛けてみる機会はあったのだ。

やっぱり私は怖かったのだ。

この鳩事件と、藤橋ユウヤを結び付けることを。

そしてあの藤橋ユウヤの暗く沈んだ心の設計図に触れてしまうのを。


ふいに友達のミヤが話しかけてきた。

「ねぇねぇ、サキって藤橋君のこと好きなのかなぁ??」
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