生徒会長に任命します!〜会長だって恋する乙女?!〜


「教えろ。千紗に何があった。何でそんなに焦ってるんだっ」

「……たっちゃ、ん……」

「林、教えろ。長谷川にだって知る権利はある。それに、今は坂桑を探しだすことが最優先だ」

「ヒロっち!でも、それはっ――」

「笠井。坂桑がどうなってもいいのか?!」

 一瞬、目を見開いたミドリさんは、その大きな瞳から音が聞こえてくるんじゃないかってほどの涙を零す。

 そして小さく「……やだよぉ」と呟いた。

「たっちゃん。時間がないからざっくり話すよ。でも、後でちゃんと千紗に聞いてね?」

「ああ。分かった……」

「あのね。千紗は―――」

 雄太郎から千紗の過去を知るとは思わなかった。

 それでも、そんなことはどうでもいい。

 今はとりあえず千紗を抱きしめたくて、安心させてあげたくて、夢中で生徒会室を飛び出した。





< 313 / 361 >

この作品をシェア

pagetop