極上な恋をセンパイと。

確かに期待できないカモ。

だって、仕事以外無関心の人だから。

だから、久遠センパイが集まりに顔を出すなんて、それこそ奇跡に近かった。
だって、前に一緒に飲みに行ったのなんて、あの親睦会が最初で最後だったんだから。




―――ピリリリリ ピリリリリ

その時、時東課長のスマホに着信が入った。
どうやら相手は部長のようだ。


「すみません、ちょっと外します」


そう言って、時東課長はお店を出て行く。
その後ろ姿を見送っていると、いきなり肩をガシっと掴まれた。

え?と振り向くと頬をピンク色に染めた真山くんが、お酒の匂いを漂わせあたしの顔を覗き込んだ。


「あ~、渚さぁん!ホラホラもう飲み物なくなっちゃいますよ!
次!次何飲みますかぁ?」


うわ、この酔っ払いがいたんだった!
か、課長~!早く帰ってきてください~!

ニコニコしてる真山くんに、なんとか笑顔を作る。


「え?えっと、あたしはホラ、お酒弱いし」

「何言ってんすか!渚さんが酒豪でザルなのは有名な噂ですよ~」

「ええ!う、噂っ!?」


ギョッとして身を乗り出すと、「あっはははは」となぜか真山くんに爆笑された。


…………な、なんだ、冗談か。



例のごとく、真山くんは気持ちよさそうに酔っ払い、柘植さんときたらいつの間にか女の人からの呼び出しでいなくなっていた。

ジトーッと真山くんを睨んで、そらから小さくため息を零すと、手元のグラスに視線を落とした。


お酒強いって言うか……酔えないんだよね。
なんでだろう。はじめは気持ちよくなるけど、すぐにさめていく。


この感覚。

ちょっと、あたしの恋愛観に似てるかもって最近思うんだ。

はじめのうちは、恋に溺れていくんだよねぇ……。


そんな事を考えていると、テーブルに突っ伏すように真山くんが覗き込んできた。


「え、真山くん?」

「……」


いきなり真剣な眼差しを向けられて、落ち着かない気分になる。


な、なに?




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