おいてきぼりのピエロ

「千鶴さん、美沙あとどのくらいでセットできる~?」
「綾香のセット終わったら大丈夫だよ」
こいつ、と今セットしている女の子を指差す。

私はお店の女の子の名前をあんまり覚えていない。
特に新人は。

どうせすぐに、消えるし。


「じゃあ美沙、着替えてくるね」
「おう」

かなりファンキーな千鶴さん。
綺麗な顔しているのに、男っぽい彼女のことは、わりと好き。
だから、彼女の名前はすぐに覚えた。

この世界で働いていると、だんだん相手の人生が見えてくるようになる。
苦労したんだろうな、とか。
この笑顔の裏は、欲だな、とか。


千鶴さんは、本当に裏表を作らない。
と、思う。


どんな人にも、壁を作り、上辺だけの付き合いしかできない私には、眩しすぎる。

だから、憧れる。
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