桜が咲いたら
『ガラッ』

「剛…」

「有香ちゃん」

剛のいつもの笑顔。

優しい。

あったかい。

「どうしたの?」

「んー…ちょっと、話したいなって」

剛の少し照れた顔は

大人の男性って感じの照れ顔。

「もうすぐ、春だねー」

「そうだね…あったかくなるね」

剛の表情は落ち着いている。

「ねえ…剛?1つだけ…お願いがあるの」

「なに?」

あたしは、窓から見える

桜の木を見て言った。

「桜が咲いたら…花見に連れてって…」

「花見?」

「うん…昔からの夢だったの」

そうあたしは、言った。

数ある花の中でも

桜は大好きだった。

こっから見えるってこともあるし

物心がついたころから

見てたから。

「そっか…いいよ」

剛は、笑顔でそう言ってくれた。

「じゃあ…約束ね」

あたしは、小指を出した。

「うん」

剛も小指を出して

指切りをした。

この約束…

叶うのかな?
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