恋スル運命
フワリフワリと揺れる、羽のように軽いドレスの裾を踏んで転んでしまわないように慎重に歩く。


エスコートしてくれているジョージさんの腕に回している手の力が強いことに、彼は緊張からだと思っているらしく、耳元で囁くように言った。



「僕が側にいるからもっとリラックスしていいよ」




リラックスしたら確実に転んでしまう。



履きなれないヒールの高い靴に、豪華なドレス。
不格好にならないように意識していないと、絶対に恥をかいてしまうわ。



今日はいよいよパーティーの日。


連れられてきた会場に入るなり、たくさんの人の視線が私たちに集まる。



入り口付近に立つボーイから飲み物の入ったグラスを受け取ると、ジョージさんは私を更に中へと促し歩みを進めた。



「さあ、行こうか。みんなに君を紹介するよ」


彼の仕事で取引がある人、懇意にしているお友達と、会う人一人一人、紹介され挨拶をして歩いた。



終始笑顔を張り付けたままの顔が、このまま戻らなく固まってしまうんじゃないかと思い始めた頃、



「ジョージさん」




一人の女性が艶っぽい笑みを浮かべて近づいてきた。




「私にも奥様を紹介してくださる?」




「マリア。君も来てたのか」



他の人の時と同じような笑顔で彼女にも接していたけれど一瞬、ジョージさんの体が強ばったのが触れていた腕から伝わってきた。


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