恋スル運命
サイアクだった合コンの事もようやく忘れてきた頃だった。




新しく出た新作ルージュをお客様に買って頂き、包装してお渡ししてお見送り。




「ありがとうございました」




頭を下げてお見送りしていた私の目に映るのはデパートフロアの床、自分の足。




そこへ突然現れたのだ。
デパートの1階化粧品売り場には似つかわしくない男性の足が。





それも裸足に雪駄、という思い出したくもない組み合わせの。





まさか……と思いつつゆっくりと顔を上げていく。





「なんでこんな所にあんたがいるのよ」




思わずそうこぼしてしまった。





初めて会った時と全く同じ格好の海偉という男。




この間と違うところと言えば髪の毛。今日は寝癖は見つからないって事くらいかな。




相変わらずの無精髭は幾分伸びたように見えるし。




この場所で思いきり浮いてるんだけど!




私の知り合いだとは思われたくない。




そう思って気を取り直し、知らないフリをして売り場に戻ろうとする私に、一言。





『仕事のついでに会いに来てやった』





上から目線の言葉にカチンときた。




こういう偉っそうな男、一番嫌いだわっ!!




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