ハッピー☆ハネムーン


ステージに視線を移すと、いつの間にかさっきの女の人はピアノの演奏を終えていた。


今は、ギターを持った体格の良い男の人の隣でなにやら話をしているようだった。



ハワイに住んでるのかな…
すごいなぁ

女の人は20代前半に見えた。


下手したらあたしと同じ年かも…


なんて考えていたら、急に振り返った彼女と視線がぶつかった。




ドキン!!

ひぇぇえ!!


一瞬だけど…目が合ったよね?




こちらを見た彼女の瞳は、とても印象的だった。

しっかりアイメイクされた少しつり上がった瞳。
…そして何より大きな黒目に吸い込まれそうになった。



慶介の瞳も、あたしの心を鷲掴みにする魔法の魅力を持ってる。
でも、それとはまた違った力だった。



気が付くと、さっき目が合ったと思っていた彼女は、楽しそうな笑顔を浮かべて大男と話をしていた。




「葵?」


「…あ…うん」



動けずにいたあたしは、慶介の声に反応してようやく力を緩めた。
「どうした?」と心配そうにあたしを覗き込む慶介に「なんでもない」と返してそっと胸に手を置いた。




まだドキドキゆってる…





「そろそろ出るか」



そう言って、慶介は店員を呼んだ。

会計を済ませると、あたし達は再び夜のハワイへ繰り出した。





まだたくさんの人が行き交っている。


でもビーチには人の姿はまばらになっていた。
あたし達は、ワイキキビーチにあるナイト・バーに入った。

陽気なハワイアンミュージックが流れる店内。
すぐそこに海があって、昼間からサーファーに人気のナイトスポットらしい。

色鮮やかなカクテルを飲み交わして、現地の人も観光客もお酒を楽しんでいた。



わわ!!

いいのかな?
なんだかいけない気分…


まだ未成年のあたしは、慶介の横で小さくなっちゃうよ…


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