ハッピー☆ハネムーン

ベッドに入った慶介を見ると、彼はあたしを見上げほんの少し笑みを零していた。

左腕を伸ばし「おいで おいで」をしている。



ドキン……



腕枕……か。

好きだけど……腕枕はいつも寝る時にしかしない。


慶介は寝る気なんだね……



「はあ」



あたしは気づかれないように小さく溜息を漏らすと、その無駄な贅肉のない引き締まった胸に顔を埋めた。

慶介はあたしごと腕を自分の方へ引き寄せると、優しく髪を撫でてくれる。



「おやすみ」


「……おやすみ」



幸せ…

すごく安心する。


この腕にあたしは守られてるんだな……そう感じる瞬間。



―――……でも、ね?

今は歯痒いよ……

  


どうしよう……

これを打破するにはどうしたらいい?



どうしたら……

自然に慶介にわかってもらえるの?



あたしは、ない頭を必死に回転させる。
そのおかげで、どんどん頭は冴え渡った。



永遠に感じる時間……




あたしはなぜか息をするのも苦しくなって、1人呼吸困難に陥りそうなる。


く……苦しい……ッ

あ~~!! もうッ こうなったら、やけくそだぁ!!!



えぃッ!!!



「チュッ」


あたしの必死の想いは、小さな音を立てて弾けた。

< 60 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop