ハッピー☆ハネムーン

「ん……」


そっと目を開けると、そこには慶介の顔。

スースーと穏やかな寝息をたてている。


「……」


上体をゆっくり起こすと、下腹部に鈍い痛みが走った。



あ……。

気がついて、視線を落とすと慶介の締まった胸板が目に飛び込んできた。



ぼわわわ!!


顔が一気に熱を持つ。
その瞬間、昨日の事を思い出してしまった。

『初めて』じゃなくても、痛くなることあるんだ……
子宮の奥が、キュウってなる感じ。



うぅ。 恥ずかしいよぉ~



「…………」


ぼぼぼぼ!!!


わー! ダメダメ!!


勝手に浮かんでくる慶介の姿に、あたしは慌てて頭を振ってそれを追い払った。


「……なにしてんの?」


やっと落ち着いたと思ったら、寝ているはずの慶介の声。


「えっ ……あ、お、おは、おはよ」


まだ眠たそうに片目をちょっとだけ開けて、あたしを見上げる慶介と目がばっちり合ってしまった。


あわわわッ!
見られてたーー!


意味もなくシーツを掴む。
肩に力を入れたあたしの姿に、慶介は楽しそうに頬を緩めるとそっと手を伸ばしてきた。


「体、平気?」

「えぇ!? う、うん。平気平気」

「そっか」

「うん! そう、大丈夫!!」

「うん」



慶介は、あたしのくしゃくしゃの髪に触れると目を細めた。
林檎のように顔を真っ赤にして「ハハハ」って笑うあたしは、色気ゼロ。




平気……なわけがない。


もう朝から心臓が、大暴走です。





今日も、晴れ。
どこまでも高い青い空は、雲ひとつなく澄み切っている。
朝陽を浴びたエメラルドグリーンの海がキラキラと反射して輝いていた。

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