マイワールド
ルルル――。

今握っているケータイが鳴った。

『着信。中栄未来。』

画面に大きく表示されたその文字を見ると、
何だかにやけてしまった。


だが、すぐには出なかった。

今日は、何を話したらいいのかわからない。

クリ以外の動物と触れ合っているわけでもないし、
映画の参考になることを学んだわけでもない。


私は悩みながら『応答』のボタンを押した。

『八時ピッタリ!

ウーパーです。』

ウーパーは明るい声で言った。

「こんにちは。」

『ごめん!

仕事の合間に電話してるから、
五分くらいしか話せないや!』

「大丈夫ですよ。」

正直、ホッとした。

五分間なら、なんとか会話が続きそうだ。

『今日、何かした?』

「彼氏の部活の試合を見に行きました。

ごめんなさい。

今日は、そんなに参考になるようなことはしてないんです……。」

『あぁ、いいよいいよ。

で、どうだった?』

私は、今日の試合の様子を話した。

恵子のことも、悪口にならない程度に、でも褒め言葉にならない程度に、触れた。

『そっかぁ。

じゃぁね』

ウーパーは慌ただしく電話を切った。


こんなことでいいのだろうか。
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