マイワールド
「そうだよ。

親はウチより弟の方が大事みたいだし。

ウチんち、昔からそうなの。

ウチ以外みんなスポーツ好きだから、
スポーツやってないと全然可愛がってくれないんだよ。

吹奏楽なんて反対されまくったし。

『運動じゃないのか』って。

でも、どうしてもやりたくて入ったらこんなメンバーで。

毎日戦場だよ、この部活。

でもやめるわけにいかないでしょ?

それに、二年の時なんて、ウチ全然人気なかったし。

だから三年になって人気者のネーヤアと仲良くなれてうれしかったのに、
ウチが前から好きだった裕也と付き合ってるなんて聞いて。

でも我慢してネーヤアと仲良くしていこうと思ってたけど、
今日こんなことになって。

もう最悪。」

「……。」

「……てか、なんでウチ、ネーヤアにこんなこと話してんだろ?

帰るよ。

時間もったいないし。」

カナッペは立ち上がった。

「ちょっと……」

私はそれを引き止めた。

「何?」

「どこ行くの?」

「打ち上げだよ。部活の。」

「んな……無理して行くことないじゃんよ!」

「嫌われたくないの。

打ち上げ行かなかったら……絶対誤解される!

『次は我が身』ってやつだよ。」

「おかしいよ。そんなの。」

「ウチに言わないでよ!

もういいでしょ?

ネーヤアになんて関係ないから。」

カナッペは行ってしまった。
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