マイワールド

29

『この物語は、実話をもとにしたフィクションです。』

その言葉を見た途端、
私は現実に引き戻された。


客はみんな立ち上がった。


「おもしろかったな!」

明は私の顔の前でグーサインをした。

「なんか、中栄監督っぽくなかったなぁ。

相川さんの余計な協力がなければ、
もっといい作品になってたはずだけど。」

そんなことを言っている野兎も、
目の周りは真っ赤だった。

「じゃぁ、ここからは別行動で。」

裕也が言うと、
野兎は幸せそうに明にくっついた。

そして、

「じゃぁね。」

と、またハートマーク付きの声で私に手を振った。
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