身代わり姫

何事もないまま、王女が旅立ってから、ひと月、ふた月……、み月経ちました。


王女は、まだ戻ってこられませんでした。


「きっと王女は妖精を見つけられないもんだから、意地になってるんだぜ。いい加減諦めて帰ってくればいいのに」


暦を眺めながら王女を心配しているレオノーラに、リュイが意地悪っぽく笑いながら言いました。


「しかしそろそろ帰ってこねばな。3ヶ月後にはビーワ国の王子との婚礼だから、色々忙しくなるからの」


パメラも少し気になったようで、レオノーラの隣で暦を眺めて言いました。


レオノーラは不安で胸が押しつぶされそうになりながら、壁に掛けられた暦をじっと見つめました。


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