やきもち王子


わたしは自分の想いから
逃げるように勢いよく教室をでた。



「栄井さん!!」



すぐに中村くんの声と足音が聞こえてくる



なんで追いかけてくるのー!?





必死に走るんだけどだんだん
距離が近づいていって


下駄箱近くでわたしは
中村くんに腕をつかまれた。



「、栄井…さんっ、


なんで逃げるの?」


「〜〜っわ、わかんないー!」



自分でもわからない

好きだって気付いたら


ありえないとか、
何も知らないのにとか、


頭の中がぐちゃぐちゃになって

走りだしてしまっていた。





なんか涙も止まんないし、
もうわけわかんないよー………






「………俺期待しちゃ駄目かな?」

「…え?」



中村くんが優しい手つきで
わたしの涙をすくった。



「さっきのあれ、どういう意味?



『わたしは優しくてあったかい
中村くんがいい!』


……って俺ちょっとは期待して
いいのかな?」



中村くんは
爽やかでもひまわりみたいでもない
照れた笑い方をした。



そんな笑顔にきゅんと胸がときめく



中村くんが輝いて見える。





くだらないことなんてどうでもいい。


出会ってからの時間も

相手のことよく知らなくたって




好きなものは好きなんだ!!





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