緋色の奇跡
AM 9:00

消して早すぎる時間でもないけれど、休みの日の睡眠を壊されると、否が応でも腹が立つものだ

朝っぱら聞きたくもない電子音

枕元に置かれたケータイから、私を呼ぶ音がする

ケータイは枕もとの、ちょうど耳元に置いてあった

だから私は思わず飛び起きてしまった

電子音はまるで「ミズキ、ミズキ!」と呼んでいるように聞こえてくる

眉をひそめながらサブ画面の表示を確認すると、予想通りの名前が表示されていた


『南野沙良』


中高一緒の親友の名前が、今日は少し憎たらしく思う

軽く溜息をついて頭を起こすと、安眠を妨害した忌々しい物体へと手を伸ばした


『もっしもーし♪』


受話器の向こうから聞こえた第一声は、相変わらずなくらいに元気の良い声

朝、しかも寝起きに聞くには最悪だ


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