緋色の奇跡
「メッセージは以上です」


途中で途切れたお父さんの言葉

流れていた涙に新しく幾筋も涙が流れてゆく


「りょおぉ……」


小さくそれしか言えない私を、凌はギュッと抱きしめてくれた

バカだった自分がイヤになる

無事だった両親に安心して、肩の力が抜ける

喉が熱くて、痛くて、何も言えない私の頭を撫でながら、彼は「良かったな」と言った

でも、遠慮して私と距離をとっていたなんて、バカな親

そんな2人に気づいてあげれなかった私も、ほんとバカ

さすが、親子

似た者同士だ


「お母さん、お父さん、ずっと連絡遅れてごめんなさい。私も、皆、凌も沙良も泉くんも元気だよ。絶対帰るから、その時はたくさん私も言いたい事があるよ。その時にまとめて怒られるます。だから今は、心配かけてごめんなさい、ありがとう」


両親のメッセージに、私はそれだけ残して切った

それは、私が両親に発した、久々の言葉だった


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