からんころん

「え?…何のことですか?」

「千夏に頼まれたんだろ。もう全部わかったから」

「…………」



さゆりは黙ってしまった。




「報酬…と言っちゃなんだけど、今日はおごるから好きなもん食べ…」



さゆりの目が潤んできていた。



「違います…」

「え?」

「私演技なんかしてません!そりゃ…最初は頼まれてやってましたけど…そのうち演技する必要なくなったんです…」

「…………」

「……そんな困った顔しないでください」

「ごめん…」

「…ふふ、嘘です!」

「…え?」

「その通り!あなたには好きな人がいて、どういうわけか知りませんがそれを邪魔する悪役だったんです私!ははは」

「さゆりさん…」

「バレてしまったら…この作は失敗です。報酬なんて要りません!」



さゆりは席を立った。



「さよなら…」

「…さゆりさん!」



さゆりは強がり、最後まで嘘を貫き通そうとした。
けれど…別れ際にこぼれた涙が嘘をつききれなかった…




「……ごめんな」



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