【短編】こんな恋もありでしょ。
―――ヴーヴーヴーヴーヴー……
「ん、んんー……」
枕元で感じる揺れと微かな音に目を覚ましたのは、西日が部屋を赤く染めた頃だった。
「うっさいなぁー……」
目を閉じたまま、手だけを伸ばし左右探す。
右手に当たったスマホを握ると、ヴーヴーヴーと再び震え出した。
寝ぼけた目でスマホを見ると、メール受信じゃないことはわかった。
ん? 電話?
勘で画面をスライドして、耳元に当てると
《はぁ、やっと出たか》
聞こえてきた声に、ミスった!!! と心の中で叫ぶと同時に、目を見開いた。