【短編】こんな恋もありでしょ。
―――ヴーヴーヴー……
「ひやぁっ!」
握り締めていたスマホがまた震えだして、あたしはベットへと投げ捨ててしまった。
「ムリムリムリムリ」
誰もいない部屋で、着信を告げるスマホに言う。
なんて、普段なら絶対しなこと。
だけど、今は状況が状況なんだもん。
バイブが鳴り止んで、そっとスマホに近づくと“不在着信 那央”と“新着メール”の文字が見えた。
また鳴らないことを祈りながら、そっとスマホを持つとメールを開いた。
―――どこいんの?
―――連絡して
―――電話でろって
これって……怒って、る?
えええ!?
なんでぇ?
電話でないから?
いや、はじめから怒ってるよね?
那央ってメールに絵文字使う男だもん。
あたしは絵文字なんて滅多に使わないけど、那央の絵文字なしなんて見たことないんだけど。
わかんない。
わかんないけどー。