【短編】こんな恋もありでしょ。
バッと顔を背けたあたしは
「な、何でいるの?」
そう言うのがやっと。
「葵が電話に出ないからだろ?」
“葵”
こんな距離で言われた名前に、昨日のことをリアルに思い出してしまった。
『葵、こっち見て』
ベットの上で、そう言われて見た那央は妖艶で男の癖に妙に色っぽくて。
そのまま何度も深いキスを交わした。
カーッと顔が熱くなるのがわかる。
それを隠すように手で覆い下を向いた。
「……昨日のことだけど」
そう那央が言い出す。