堕ちる天使×美しき悪魔

急に真面目な顔になって俺を叱るセシル。



こいつ…おちゃらけているくせに、たまに俺の兄のようになる。


逐一癪に障る奴だ。



「たとえそうだとしても…俺は奴らが羨ましいね。
あいつら悪魔は掟に縛られない。
それだけでも俺からしたら夢のような話だ」

「…けれど奴らは、平気で命を奪う」

「それなら…人間も同じだ」

「人間は悪魔が植えた果実を口にした、唯一の生き物だからな」




悪魔が植えた果実ねぇ…。


人間で言う『エデンの林檎』っつーらしいけど

天界では『エリオーネル』と呼ばれている。



こちらの言葉で、『感情』という意味だ。



天使には感情の起伏があまりない。


けれど、人間や悪魔のように感情の起伏が激しい者は

時に自分を抑えられず、平気で人を傷つける。





名前の由来はそこにあるのかもしれない。




「……エリオーネルか…」



一体どんな果実なんだろう。






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