氷の女王に愛の手を

「ついに本性を現したなカマトトノッポ。要するに俺たちが駆けずり回ってるとこを高みの見物って魂胆だろうが」


「それも半分あるけどね~。でもさ……」


俺は言う。


「このままじゃタクに取られちゃうよ?」


フィギュアのライバルが、恋のライバルにもなった瞬間。


俺が与えた先制攻撃のチャンスを無駄にしてしまったチビ助が、今度ミューに会える機会はシーズン中しか考えられない。


となればその間は、ずっとタクのターンとなるわけだ。


自分の気持ちに素直だが、一歩踏み出すことが出来ないチビ助が勝つか。


それとも自分の気持ちに気付けない、超鈍感&ド天然なクレ坊が勝つか。


どっちにしろ、


「グレーゾーンは蜜の味、てな」


これから楽しくなりそうだ。
< 104 / 231 >

この作品をシェア

pagetop