氷の女王に愛の手を

語尾が弱まる。


サングラスをかけているから表情は読み取れないが、かなり驚いているご様子。


「カツラが……」


「「カツラ?」」


目の前に座る美優の頭に視線を送る。


よーく見ると、カツラが前と後ろ逆につけられていた。


「そっか、カツラが逆についてたから皆見てたんだ」


「ほんとだー、いつの間に逆になってたんだろう?」


「どうして気付かないかな、この二人は……」


「なにか言いました?」


「んーや、別に。とにかくちゃんと被り直さないと」


と、ここでカツラを取ったのがいけなかった。
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