氷の女王に愛の手を

告別と誓いと


昼休みに鳴ったケータイに驚愕した。


電話の相手は母さんで、その内容は佐藤先生が倒れたという報告。


それを聞いた途端居ても立ってもいられなくなって、電話を切ると同時に鞄を掴んで「うまく誤魔化しといて」とヤマトに最低限の伝言を残して駆け出していた。


病院は学校からさほど遠くはない。


走れば二十分ぐらいには着く。


走りながら一応美優にも連絡を入れておいた。


ショックを受けているのか数秒の間沈黙が続いたが、次に受話器から聞こえた言葉は「私も行く」というものだった。


「お前はちゃんと授業にでろ。後で連絡いれるから」


「嫌! 絶対行く!」


「ちょ、美優!」


すでに電話を切られていて、無機質な機械音だけが残っていた。


ああ見えて頑固な性格をしているから、絶対に学校を抜け出しているだろう。
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