君とはじめて。〜契約恋愛〜
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しーんと静まる誰もいない部屋。
一人残された椎也は壁にもつれて考えていた。
「ファーストキス…まじで…?」
あまりの彼女の純粋さに驚きを隠せないのは当たり前だ。
大人びた顔立ちとスタイルは男の一人や二人は経験してる雰囲気を漂っていたし、軽くみていたのは確かだった…。
あまりの自分の不誠実さに恥ずかしくなる。
そして、彼女に対しての扱いまでも、自分を攻めてしまう。
…―あんな目、初めてみた…
「…あんなの、泣いてるって顔じゃねーよ」
…まだ18…高校3年だろ?
なんて冷たい目で、嗚咽をもらすわけでもない、大泣きするわけでもない…。
ただ涙を流すだけ…
ズ、シン
胸に重いものが突き刺さるかのようなそんな感覚だ。
…―やべー、俺…。
ドクン、ドクン、
心臓が高鳴るのが分かった。
「中学生じゃあるまいし…まじかよ…」
自分の心臓の速さに驚いてしまう。
ただ、何故かあの顔が忘れられない。