ロマンス@南国
「もうこの島に来ることはないかな?」


「あるかもよ。またまとまった形で休みが取れれば」


「そうだな。日本に帰ったら、俺も君も仕事だからね。互いに夜の仕事だけど」


 喬がそう言い、ゆっくりと息を吐き出す。


 彼は帰国後のことに関して、少し心配しているようだった。


 あたしと会えなくなると思っているのだ。


 だが、あたしはその辺りのことは全く気にしていなかったし、別に互いに都合を付けられれば、いつでも会えるのである。


 お互い、同じ東京都内に住んでいるのだから……。


 会おうと思えばいつでも会えるし、あたしは別に帰国した後のことまで気に掛けていないのだった。


 それにあたしは喬と付き合っていて、結ばれている以上、頻繁に顔を合わせる必要はないと思っていた。


 互いにメールするか、ケータイで連絡を取り合うかすればいいからである。

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