紺碧の地図
子供たちのはしゃぐ声が、遠くから聞こえる。
私とゼンがいるこの空間だけ、何故か周りとは違って感じた。
「…そう」
ゼンはそれだけ言うと、僅かに微笑んだ。
サンにひどいことを言われたわけじゃないって、安心してくれたのかもしれない。
でも…少し残念だなんて思った私は、ズルいかな。
ゼンに心配されていたいなんて…考えちゃダメかな?
「…ねぇ、ゼンは…サンの過去とか知りたくないの?」
ズルい感情を掻き消すように、ずっと思っていた疑問をゼンにぶつけた。
ゼンは一拍間を開けてから、首を横に振った。
「…最初は、知りたかったけど。さっきサンと話して、もういいと思った」
「何で…」
「…サンのことだから、理由があったんだと思う。なら仕方ないって…不思議とそう思った」
ゼンは海に視線を送りながら、静かに笑った。
「…あんなに、後悔してたし」
その表情は、前のゼンと明らかに違っていた。
過去を…抜け出すことができたのかな?