我がままな王子

■ ツンデレ?


「遅い」

翌日、いつものように遅刻ギリギ
リで校門まで走ると黒川が鬼のよ
うな形相で立ってた。

「げっ」

なんで黒川がここにいるのよ…。
朝のさわやかな気分が台無しだ。

「おはよう、って言うか遅刻!」

そのまま通り過ぎようとしたら、
ぐいと襟首をつかまれた。

「ちょっと何すんのよ!」

「家来のくせに生意気だな」

そ、そうだ…。
私は昨日家来になると約束したん
だった。
そんな事キレイさっぱり忘れてた
…。

「ほら持てよ」

言うなりスポーツバッグを放り投
げて来た。
とっさに投げられたので、つい条
件反射で受け止めてしまうバカな
私。

「カバン持てって事!?」

「家来なら、そんぐらい当たり前
だろうが」

スタスタと歩き出す黒川の後を
私は慌てて追いかける。

教室の窓からは、好奇心いっぱい
の奴らが、笑いながら見てるし。
なんかほんとに家来みたいで恥だ
……。

「あのさぁ…私いつまでこういう

事しなきゃならないの?」

「俺がいいって言うまで」

「はあああ!?」

私は今まで黒川なんかに興味はな
かったから、知る由もないけど
女の子達には人気があるようだ。
通りすがりの1年とか、3年の先輩
達にチラチラ見られて、耳打ちさ
れたりしてる。

やだなあ…変な風に見られなきゃ
いいけど。

「いいって言うのはいつよ!?」

「さぁな」

さぁなって…。
もしかして卒業するまで、とか言
うんじゃ?
冗談じゃない!
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