月影

ひび割れて

きっちり大みそかまで働き、1月2日に葵と聖夜クン、そして拓真の4人で初詣に行った。


葵は馬鹿みたいにお守りを大量に買っていて、それってどうなんだろう、なんて思ってしまったんだけど。


それは聖夜クンも同じで、逆に御利益がなくなるとか聞くけどなぁ、とあたしは肩をすくめることしか出来なかったのだ。


拓真は上を目指したいんだ、の言葉通り、商売繁盛のお守りを買っていた。


迷った末、あたしは厄除け守りのみを買った。


合掌し、シュウが見つかることを祈ったのだけれど、おみくじは中吉で、そんなあたしを拓真が笑ってた。


友達作るためにキャバやってるわけじゃないけど、でも、これは決して悪い出会いなんかじゃないのだろうと思う。


ジルはきっと、生きる意志も乏しいくせに、誰かとどこかの神社に行っているのだろう。


あの人が、神様に何を祈るのかが気になった。


最終的に、さすがは中吉らしく、ジャンケンに負けたあたしはみんなにたこ焼きを奢る羽目になり、また拓真に笑われてしまう。


あたしの年越しは、結局そんな感じだった。


月日を追うごとに、見つからないシュウに苛立ちながらも、生きてる可能性ばかりが薄くなっていく。


また新しい一年の幕が開いたけれど、あたしにとって、それは喜ばしいことではないのだ。


塗り重ねる日々ばかりが増え、飲み込まれてしまいそうになる。


シュウを探し出すことに半ば諦めを感じ、馴染むばかりのキャバという仕事。


大嫌いだと思っていたホストともすっかり仲良くなり、あたしの生活に溶け込んでいくのだから。


レナじゃないあたしは、一体どんな人間だったろう。

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