アビリク
■仲間
3人の姿が消えた頃だった。

─ダメだよ!急に入れ代わっちゃ!─

それは少女の声だった。脳に直接伝わるような不思議な感覚に、俺は思わずさっきの青年を見た。

「ごめん。でも相手が馬鹿で助かったよ。」

青年は頭を掻き、携帯をいじり始めた。

「やっぱあの子、そこにいるのか?」

俺の声に、青年が顔を上げた。冷たい視線と目が合う。

「あれ?まだ1人いたんですか?しつこいですね。」

その言葉に俺は頭にきた。

──ビリッ

手に電流が走り、一瞬青白く光った。また少女の声が聞こえる。

─違うよ!その人、私を助けようと…─

その言葉に、青年の表情がパッと変わった。

「え、そうなの?…やぁ、すみません。」

「いや…。ってか、そろそろ姿を現しても大丈夫じゃないか、彼女。声がかろうじて聞こえるけどさ。」

俺の言葉に青年が柔らかくほほえんだ。
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