21世紀人のカルテ
今年でもう33歳になる。



もはや正社員は望めない。


仕事場では、
「おい。派遣」
「さっさとやれよ。派遣」
と言われるだけで、誰も俺の名前を呼ばない。


誰も名前を知ってないし、知る気もないんだ。



俺の名前を知るのは年老いた両親と兄貴のみ。



だが、その三人も家族である俺のことを忘れ始めているだろう。



両親は、俺を3年前に勘当同然に家から追い出した。


三十路のまともな仕事についていない男を置いておく余裕はないのだという。



風の噂じゃ両親は兄貴と兄貴と結婚した女との間に生まれたガキに夢中になっているらしい。



その女、一度だけ見たことがある。


胸がでかくて、ちょっと肉がついているけど、肌が白くてフツーにかわいい女。


兄貴にはもったいない。



その兄貴はガキを養うために必死で仕事をしているらしい。



俺のことなんて考える余裕なんて微塵もないだろう。
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