World of Game

閉ざされた世界の支配者

その後、どこにしまってあったのか小夜にはわからなかったが弥生が報告書の束を持って現れた。

「さて、行くぞ」

「うん…」

歯切れの悪い返事に弥生は立ち止まった。


「行きたくないなら置いていくからな。さっさと来い」

そういってずんずん一人で進んでしまうので、小夜は慌てて追いかけた。

「これからここの上層部の人に会いに行くんだよね?」

小走りで横に並びながら小夜が聞いた。
弥生は黙っていたために、聞いてはいけないことなのかと小夜は小さくなる。


「ねえ! なんとか言ってよ!!」


あまりに会話が無いのに耐え切れなくなり、少し語気が強くなる。


「黙ってろ。もうすぐあいつらに見張られてる領域(テリトリー)に入る。心音とか気をつけとけ」

そんなこといわれても表情は変えられても、心音なんて自分の意思で変えられるものではない。

どうすればいいんだと、少しすねる。


「せめて平静を保っておけって言ってんだ。理解しろよ」

「別に理解したところで目に見えないところでびっくりしてたら向こうにわかっちゃうんだからどうしようもないよ」

「じゃあ、目に見えて平静でいろ。今までにの比じゃない奴らがいるからな。上層部ってのは」

「うん、気をつける」




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