World of Game

Luna

翌日、小夜は早く目が覚めた。

最後

だからしっかりと力をつけなくては、と思い朝ごはんをたんまりと食べて家を出た。


何故だかこう、此処にはもうこないと思ってみると振り返ってみたくなる。


家といわれた場から出ると広がるのは暗い天井と目の前を早歩きで闊歩する人型ロボと人で無くなってしまったモノ。

死んだ目をしている自分と同じくらい、もしくはもっと大きい人々が自分たちの持ち場へと忙しく動き回る。


彼らも自分と同じようにどこからか連れてこられたのだろか、此処に‘ちゃんとした人間の大人’はいないのかなど今更のような疑問が浮かび上がっては消えた。



そして、此処にしてからの『記憶』。



『思い出』とは呼びたくは無いし、そう呼べるほど明るく楽しいものでもない。

弥生とともにいた時間は楽しいこともありはした。

けれども此処を思い出すのはきっと苦痛のときそんな気がする。


小夜は頭を振って前を向いた。
今はそんなことを思っている時ではない。


進むんだ。


そうして、床を踏みしめながら歩きだした。



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