親指姫

第一、あたしの初カレは、ネットで出会いました~。
なーんて自慢できない話。


「でも、出会いを他人に求めるなら、ネットと変わんないじゃん」
「違うしっ!」


バーチャル世界か、リアル世界か。
心はどっちもリアルだけど、世間の目は――。


「でへへ」
「そんな気持ち悪い笑い声、口に出さないでよっ」


顔がユルユルの由佳里が戻ってきた。
こんな短時間で、こんなに表情が変わる。
やっぱ、恋は飽きないよね。

――ふっと、時計を見たら……えっ!


「あっ!!あと1分で1限目始まるっ!!」
「わわわっ!まだ生物の準備してない~っ」
「なら先行くからっ!!」

あたしとちーちゃんは、走って生物室に向かう。

あたしは、勉強だけは優等生。
だから、遅刻するわけにはいかないのっ!!



また退屈な1日が繰り返された。
< 11 / 32 >

この作品をシェア

pagetop