紫陽花の咲く丘で
会議室をでると、
私たちは中庭に向かった。
芝生に寝転ぶ。
お日様の日差しが気持ちいい。
このまま寝ていたいけど、
さすがに五時間目までサボるわけにはいかないよね。

「あー・・・五時間目なんだっけ?」

だるそうに、巴が前髪をかき上げながら言う。

「巴と眸の好きな体育よ」

雪が嫌そうに言う。

「お前、運動神経どっかに落としてきたんじゃねぇ?」

「うっさいなぁ。あー家に帰ったらママとパパに怒られるぅ」

雪が頭を抱える。

「お兄さんが教師って、筒抜けで大変ね」

私は心底、雪に同情する。

「神崎先生って
眸の幼馴染みなんでしょ?
親に言わないの?」

雪が自分だけじゃないという、微かな期待からか言う。
(多分ただの興味本位だろうけど)

「優斗は多分
腹痛を訴えていたので
気を付けてあげてください
くらいしか言わないと思うよ」

「ずるぅぃ」
「ずるーい」

雪の言い方に真似て、巴が後に続く。
すかさず雪が巴を叩く。

「巴なんか、なんもないじゃない!お母さんサバサバした人だし」

「あーゆーのは、放任もいいとこだぜ?
自分の責任は自分でとれって
おかげで子供は勝手に育つぜ」

巴のとこは母子家庭で
お母さんはブティックショップの社長さんらしい。
カッコいいと思うけど
それはそれで、巴も複雑というか、さびしいのかな?

「ねぇ、着替え行こうよ。ほんとに遅刻しちゃう」

私の言葉でみんな更衣室に向かった。


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