真夜中の向日葵

ガラガラと大きな音をたてて開かれたドアに驚いて、数人の店員と客が同時に振り返る。



「……いらっしゃいませ…」



僕はよほど血相を変えていたのだろう。

ただならぬ雰囲気に、店員のおばちゃんが唖然としつつも言葉をかける。



「あの、竹島……、竹島さん、いますか?」

「あぁ、遼ちゃん?」



一緒に働いている仲間の名を僕が口にしたことで、おばちゃんの顔に、僅かに笑みが広がる。



「ちょっと待ってね」



そう言い残して、おばちゃんは厨房の方へと姿を消した。

ラーメンのスープの匂いが漂う店の中。

スミのテーブルでは、餃子をつまみにしてビールを飲む作業着姿のおじちゃんが数人いた。

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