幸せの契約
でも
蔵之助さんは私よりも何枚も上手だった


「わかりました。それで決めましょう。
あと、いい忘れたこてがありました。
私には、息子がいます。行く行くは萩乃宮家を継がせようと考えています。

平瀬さんに、もし、今意中の男性がいないなら、うちの息子を相手に考えてほしいのです。」



なに?



なんだって?!



「手っ取り早く言うと、平瀬さんにうちの息子のフィアンセになってほしいのです。」



「はぁ?」


思わず
気持ちが口に出てしまう


「先程、平瀬さんは私の提案を承諾してくれました。その中には息子のことも入っていると言うことですので、よろしくお願いしますね。」


ニッコリ笑って蔵之助さんはカップを口に持っていく…。



これが…
これが……

あの萩乃宮家当主!?



この…タヌキオヤジっ!



「のちほど、芳賀が文書にまとめますから、平瀬さんに確認していただき、サインしてください。

大丈夫ですよ、息子が気に入らなければ婚約破棄しても構いませんから。」




「いいんですか!?」


一瞬にして私の中に希望の光が見えた



生涯の伴侶をこんな形で決めたくない


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