【詩集】水のない海を泳ぐように
夜の闇を切り取った
わたしの形に切り取った
冷えたハサミは 冷たい音をたてて
あなたの手から滑り落ちた
あなたが立ち去った そのあとに
残ったのは 型どられたわたし
夜の色をしたからだ
切り取った闇には ぽっかり穴が空いて
わたしの形に輝いている
あれはわたしではないの
ただの空白なの
本物のわたしはここにいる
だけど
夜の色をしたわたしは
夜の闇に同化して
誰にも気付いてもらえなかった
夜の闇を切り取った
わたしの形に切り取った
あなたはわたしを知ってるの
夜の闇をさまよって
わたしは 今日も あなたをさがす
そして その時まで
わたしは影を演じることにした