【詩集】水のない海を泳ぐように

あなたの道を 教えてください

霜柱が根付く田舎道を
あなたの棺を引き摺り歩く

隠してしまおう
見えないところに
死神の手の届かぬ場所に

あなたの道を 教えてください

わたしが進む道は 合っていますか

道端に佇む梅の木では
小さな白い花が控えめに覗いて

殺伐とした野の中では
ぽつりぽつりと色づく蓮華


ああ もうそんな季節

いったいどれくらいの時を
こうして過ごしたのでしょう


わたしの道を 教えてください

黙っていないで
横たわっていないで
目を閉じていないで

教えてください


あなたの道は どこですか

きっと もっと暖かくて
もっと眩しくて
もっと自由で


きっと

わたしと 違うのでしょう



「あなたの道を教えてください。いつか再会したときに」


これが あなたとの最後の約束

あなたはただ真っ直ぐに
あなたの道を進んでください

たとえそれがわたしの知らぬ道でも