【詩集】水のない海を泳ぐように

四本足は不安定だから

微妙な長さの違いで
そのせいで

ゆれて ぐらついて
安心して眠れやしない

神様は心配して 一本だけぬきとった


三本足は安定してるから
わたしはゆっくりと眠れた

だけど ひとりじゃ進めなかった

人間のいないこの星では
わたしは退屈に眠っていることしかできなかった

神様は憐れんで もう一本ぬきとった


二本足は不安定だった
四本足よりもずっと
不安定だった

長さが違うから
左右に大きく揺れるし

支えるものがないから
つまずくと前後に倒れる

人間のいないこの星では
ひとりで立ち上がるしかない

それなりに進むことはできるけれど
四本足の方が速かった


神様は もう
わたしに手を下すことはなかった


恨んではいません
あなたを恨むことなんてできない

すべて あなたの「ご好意」なのだから

でも・・・


神様は どうして
不安定すぎるこの体にしたのでしょう

故意 だとしか思えない


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