職場内恋愛





「美優さんに会わせられないのは優作さんを思ってですか?

それとも私を思って、ですか?」


この質問に涼さんは答えてくれない。

きっと、私を思ってだ。


涼さんはそういう人だから。



「私は大丈夫です。

もう、耐えられる。


いざその場面になったら分からないですけど…でも耐えられると思います。


それに優作さんが愛した人なら美優さんは悪い人じゃないんでしょう。」

私の言葉が終わると同時に涼さんは言う。



『でもアイツには記憶がない』


「知ってます」


確か、美優さんは目が見えないことに失望して自殺未遂をした。

そしてその後遺症で記憶がなくなった。



『だったら…いいじゃないか。

会わなくても。


アイツは目が見えないうえに記憶もない。

優作が来たところでアイツは…美優は…何も、分からないんだ』


涼さんは拳で壁を殴った。



「分かってます。

でも、このあと私と優作さんが本当に幸せになるためには美優さんに会う必要があると思うんです。


お願いします…涼さん。

美優さんに、優作さんが愛したその人に、会わせてください…っ!!」











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