職場内恋愛
『奈々?』
俺は奈々を抱きしめる。
『俺は、どこにも行かないよ』
そりゃあ、ショックだった。
美優の記憶が戻った話、してくれなくて。
でも、
『俺は、奈々が好きだから』
美優はあくまでも過去。
今、俺が好きなのは奈々。
お前1人なんだよ。
『だから、どこにも行かない。
奈々の傍にいるよ』
腕の中で鼻をすする音。
小さな体を震わせながら泣いていた。
不安だったんだよな。
もし、このことを話して俺が美優のところに行ってしまうんじゃないか、って。
それに、美優と話さないって約束、したんだろ?
奈々は約束を破れない、誠実なヤツだもんな。