職場内恋愛

恐怖





『まあ…そんなに落ち込むなよ、優作』


そう言って俺の肩を叩くのはもちろん涼だ。



『別に落ち込んでなんてねぇーよ』


落ち込んでるワケじゃない。

でも、気分は最悪だ。



『そ?ならいいんだけどさ。』


涼はふぅーと煙を吐き出した。



『俺はさ、お前みたいな経験したことないから想像でしかキモチ、分かんないけど…

辛いよな。


彼女に拒まれる、って。

受け入れてくれないのって苦しいよな』


涼は目を細め、遠くを見つめる。



『とりあえず、奈々ちゃんには辛いとことか苦しいとことか見せんなよ。


1番辛いのは、苦しいのは、奈々ちゃんなんだから。』



『…分かってる』



そんなこと、分かってる。


分かってるけど…


だけど、そんなふうに簡単に割り切れないんだ。



頭で分かってるはずなのに。

奈々の前でうまく笑う自信がない。


時を経れば経るほど、自信はなくなっていく。



どうすればいんだ…俺は。









< 252 / 425 >

この作品をシェア

pagetop